前会長 退任の挨拶


 

弁護士 望月浩一郎
(前会長)
 

  日本スポーツ法学会会長の3年間は、様々な課題と格闘する中で、振り返れば瞬く間に過ぎていきました。2016年12月、無事に井上新会長にバトンを渡し、一息つけた思いです。
 2020年東京オリンピック・パラリンピック開催と5競技の追加開催が決まり、環境との調和の中で、またスポーツの裾野を広げる活動とリンクした形でオリンピック・パラリンピックを成功させるための諸問題の解決の指針を示し、解決の主体となるスポーツ団体のガバナンス強化が求められています。
 このような状況の中で日本スポーツ法学会が果たす役割は重要となっています。
 2019年ラグビーワールドカップ、2020年東京オリンピック・パラリンピックを視野に入れた新国立競技場等の競技施設の更新・新設をめぐる問題は、持続可能なスポーツの発展という視点からも重要な問題です。2015年に発覚したロシアの国家ぐるみのドーピングの発覚、検査技術の発達に伴い北京オリンピックにまで遡ってドーピング検体の再検査による陽性反応の続出、プロ野球選手やバドミントンの有力選手らによる違法賭博問題のスポーツのインテグリティを揺るがす事件、国際サッカー連盟会長の横領疑惑での辞任等のスポーツ団体のコンプライアンスの確立等の課題。これらが次々に突きつけられた3年でした。
 このような中で、2015年には、第6回アジアスポーツ法学会が、「アジアにおけるオリンピック・パラリンピック開催をめぐる法的諸問題-平昌、東京そして北京への法的整備の推進と課題」をテーマに日本で開催され、オリンピック・パラリンピックとスポ一ツのインテグリティ、オリンピック・パラリンピックの持続的発展-環境、レガシー、ガバナンス等を議論し、これらの問題についてどのような解決が必要なのかについて議論し、共通の認識がよりいっそう広がり、深められました。日本スポーツ法学会は、日本のみならずアジアのスポーツ法にとって大きな役割を果たすことができました。
 このような、重要な時期に、会長として、理事・監事・事務局の方々そして全会員と共に、日本スポーツ法学会の学術活動が発展できたことに御礼を申し上げ、これからも井上会長を先頭として本学会への期待に応える学術活動が発展する活動を全会員と共に支えていくことを誓って、退任の挨拶と致します。ありがとうございました。

2016年12月31日