会長挨拶

2019年12月14日に行われました日本スポーツ法学総会において、井上洋一前会長の後を受けて、第10代会長に選出されました。2020年から三年間を新しい役員の皆様と協力して本学会の発展に貢献して参る所存です。東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されるこの時期に会長に就任することとなりますが、スポーツ界にとってこの大きな歴史的行事と変革の時期に、スポーツ法学の発展を通じて、学術面からスポーツ界を支えて参りたいと考えています。まずは皆様のご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。

日本スポーツ法学会は、1992年の創立時には20名の賛同者によって設立準備が進められた小さな集まりでした。しかし、この約30年間で本学会は400名を超える会員から構成される学会へと発展して参りました。これは、先達の会員各位のご尽力・学恩の成果であるとともに、スポーツ法学がスポーツや社会にとって必要不可欠な学術分野として認知されて来たことの証であると考えています。また、学者、実務家、スポーツ関係者などが志を交わし合い、相互に連携・協力しながら、長年にわたり学会組織を紡いできた賜物であると考えています。このような本学会の特色や偉業を引継ぎ、さらに学会として発展させて参りたいいと思います。

また、スポーツ法は、国際的なスポーツと人権、Lex Sportiva(国際スポーツ法)、Lex Olympica(オリンピック法)、アンチ・ドーピング法などの急速な進展に伴い世界規模で発達し、学術研究や関連する法務も国際的なレベルの内容が求められるようになってきました。日本がスポーツの分野で名誉ある地位を得るためにも、スポーツ法の知識は必須となっています。本学会では、今後さらにスポーツ法とも関係の深い国内外の関連機関や各国のスポーツ法学会などとの連携を深め、国際的な学術研究のレベル向上や若手国際人材の輩出に向けて努力と研鑽を積んでいかなければならないと考えています。

国内では2011年にスポーツ基本法が制定されました。同法とも関連するスポーツ基本法要綱案を本学会が公表したのは1996年のことでした。スポーツ法とは何か、何がその基本であるのか、何がスポーツの理念として重要なのか、どうしたらスポーツの振興が法的に図れるのかなど、国際的な動向も踏まえてその当時から様々な議論が積み重ねられてきました。そして現在では、スポーツ法の理念や体系が具体的に認識されるようになり、実際に社会に適用され法制度の構築も行われるようになってきました。スポーツ法学は、スポーツの未来を法の側面から議論し、スポーツやスポーツを行う者の権利や価値を明らかにしていく新しい学問領域であり、本学会は常にスポーツの新たな法的社会的課題に対峙し、研究し、社会をリードしてきたと自負しています。

志のある多くの皆様の本学会へのご参画を期待しますとともに、その叡智を結集し、この新しい未知の法学領域を開拓し確立して参りたいと強く思います。

2020年2月

筑波大学体育系 教授 齋藤 健司