この度、2025年12月の総会において、会長に選任されました伊東卓です。3年間の任期中、精一杯尽力いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

私は、弁護士として37年間にわたり実務を経験してきましたが、研究実績はもちろん持ち合わせておりません。候補者に挙げていただいた際も、学会という研究団体の代表者としてふさわしいのかどうか自問していたのですが、正式に総会で会長をお引き受けすることが決まり、腹をくくる覚悟を決めた次第です。

私は、高校時代に野球部に所属し、甲子園を目指していました。もちろん、その夢ははかなく消えましたが、その当時の高校野球界には、残念ながら「厳しい指導」がまかり通っていました。その後、約30年の時を経て息子がある競技で全国を目指すようになりましたが、その時、未だにスポーツ界に「厳しい指導」が蔓延していることを知り、愕然としました。そのことを知り合いの弁護士に話すなどしていたところ、先輩方の目にとまり、スポーツ法の世界に足を踏み入れることとなりました。

そのようなことがきっかけでしたので、2011年の桜宮高校の事件は、私にとって大変ショックでした。自分がもっと暴力根絶にしっかり取り組んでいたら、あのキャプテンは命を失うことはなかったのではないか、とも思いました。その後、日本スポーツ振興センターに設置された第三者相談窓口の統括弁護士を長く務めることになりましたが、スポーツ指導における暴力はまだまだ根絶には至っておりません。

また、様々な事件を経て、スポーツ界におけるガバナンス、コンプライアンスが強く求められるようになりましたが、まだ十分とは言えないところが散見されます。特に子どもに対するセーフガーディングは、整備が行き届いていないのが実情です。スポーツ事故の予防や補償の問題も、さらに検討を進めるべきでしょうし、スポーツにおける紛争解決やドーピングをめぐる問題は、時代の変化を取り込んでさらに進化していく必要があるでしょう。そのほかにも、アスリートに対する盗撮やSNSを通じた誹謗中傷などの新たな問題も生じており、スポーツ法が抱える課題は今後も尽きることがないと思われます。

日本スポーツ法学会は、これらの課題について、研究者、実務家が協力して議論を重ねて参りましたが、今後も、より多くの方に関心を持ってもらえるよう、会員の皆様のご協力を得て活発に活動を進めていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

2026年2月12日

日本スポーツ法学会 会長 伊東 卓