日本スポーツ法学会
スポーツ法学教育の普及・推進に関する声明
スポーツに関する法的諸問題を対象とするスポーツ法学は、すでに世界の多くの国で普及し、大学、その他の高等教育機関において教育・研究が行われ、スポーツ団体やその指導者の人材育成及び資格認定においても、重要な教育内容となっている。
また、これらスポーツ法学教育の普及は、スポーツの推進や政策の基盤となり、人権、安全、公正、インティグリティ(真摯さ)、アンチドーピング、暴力撲滅などの理解と規範意識の形成などにとって不可欠である。
しかしながら、現実には、我が国に限定しても、暴力、体罰、八百長、賭博、スポーツ団体の不正経理、ドーピング違反、セクシュアル・ハラスメント、パワー・ハラスメントなど、様々な法的問題が後を絶たない。
そこで、日本スポーツ法学会は、以下のことが重要であると考え、選手、指導者を含め、21世紀の国民すべての豊かなスポーツライフが実現されるよう、スポーツ法学教育の普及・推進に関する声明を発する。
1 国は、スポーツ法学の研究及びその教育の普及・推進を図るとともに、スポーツ法学の専門的知見をスポーツ政策に導入するように努めること
2 すべてのスポーツを行う者が、スポーツ法学を学習できる環境を関係者が相互に連携して整備すること
3 大学、その他の高等教育機関において、スポーツ法学教育を導入すること
4 スポーツ団体は、選手及び指導者の研修、指導者資格、人材開発などのために、スポーツ法学教育をより積極的に導入すること
5 教員養成系大学(学部、学科を含む。)における、保健体育教員の養成課程において、スポーツ法学を必修科目とすること
6 国、地方公共団体、その他関係機関は、スポーツ政策の審議や政策決定にあたって、スポーツ法学の素養のある人材を登用すること
2015(平成27)年12月19日
日本スポーツ法学会
会 長 望月 浩一郎